大谷環です。
子供だったら理屈抜きに暗譜はできてしまうのですが、
ちょっと歳を重ねてくると、なかなか楽譜が覚えづらくなってきます。
「覚えるのが早いか、忘れるのが早いか?」なんて冗談のような話にもなりかねません。
ここではぼくのやっている暗譜の方法の一部を紹介します。
参考にしてください。
簡単な曲を使って具体的にみていこうと思いますが、
その前に音楽という芸術の特徴を認識しておきましょう。
クラシック音楽は基本的に記憶の芸術です。
脈絡なく次から次へと音が並んでいることはまずなくて、
なんらかの繰り返しがあるということは頭に入れておいてください。
「繰り返し」は重要なキーワードです。
それは構成に関わることです。
それとギター曲の特徴を認識しておくのもとても有利です。
ギター曲は大まかに分けると三つのパターンに分けられます。
1.メロディがあって伴奏がついている。細かく分けると
a. メロディが高い音にある
b.メロディが低い音にある
2.アルペジオでできている。
メロディはよくわからないがアルペジオ(例は少ないが和音でできていることも)の連 続というパターン。
3.対位法(複数のメロディが並行して構成されている)でできている。
以上のことを確認できたら具体的にやっていきましょう。
曲は、カルッリのエチュード op.241-no.2
全音のエチュードシリーズno.3ー12番です。

まず全体の構成を確認します。
この曲はリピート記号でくくられている3つの部分からできているのがわかると思います。
それぞれに仮にA.B.C.としておきましょう。
今回はAの部分(8小節でできています)を覚えます。
このAは先に書いたパターン1.でできていますね。
高い音にメロディ。他が伴奏(ベースも含む)という構成です。
まずメロディを抽出します。
繰り返しも一緒に理解するために、リピート記号を使って単純化。
1、2小節は一度覚えれば、使い回しできるということがわかります。

これをド・レ・ミで歌えるようにします。
そこそこの音程で歌えれば充分。
音程が全然判らない時はギターで音取りをしながらやっていくといいです。
リズムはできるだけ正確に。
ちなみに4小節にあるソ・ラ・シ・ド・レはつなぎの音です。
あくまでメロディはレが伸びているように感じて歌います。
できるようになったら運指はなんでもいいので表情豊かに弾けるようにします。
次にベースラインを書き出します。これもド・レ・ミで覚えて歌います。
音程が判らない時はギターで音取りをしながらやって大丈夫。
メロディと同じく、リズムはできるだけ正確に。

次にコードを見つけ出します。
楽譜にコードネームを記して、
自分が弾けるローポジションの簡単なグリップを使って、
単純な形でもいいので、このメロディの伴奏が弾けるように工夫します。
コードが苦手だったら、先生にリクエストして書き出してもらってもいいでしょう。
今はコードの勉強をしているわけではないので、このあたりは自力でなくてもOKです。

このあたりまでくると、楽曲の構造みたいなものも何となく判ってきて、
自信がついてくると思います。
ちょっと手間暇かかりますが、手だけ(運動記憶だけ)の記憶とは格段の差が出てきます。
もっとも大事なポイントはド・レ・ミで歌えるようにするところ。
例えてみれば、これは航空写真を見せられても、自分の居場所や行きたいところはさっぱりわからないけれど、
それが地図に置き換えられて、町名番地が描かれたとしたら…。
そんな感じの違いになります。
そしてこの記憶は持続性があります。
記憶していく時のこコツは長いかたまりで覚えようとしないこと。
4小節ずつでも、それが無理なら2小節ずつでもOK。
それと、確実に覚えるまで先に進まない、ということもポイントです。
次回はBの部分を覚えます。パターンはBということは想像つきますね。
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